町田・相模原|不登校の高校生のための通信制高校「精華学園町田校」校長ブログ

不登校の兄弟への影響

time 2016/12/20

目次
  1. 不登校は兄弟に連鎖するか?
  2. 不登校の兄姉からの影響
  3. 不登校の弟妹をもつ兄弟
  4. 受容することが連鎖を作る
  5. 不登校が兄弟に連鎖しないために

 1.不登校は兄弟に連鎖するか?

フリースクールや通信制高校の実態を見ていると兄弟で不登校というケースは非常に多いと言わざるを得ません。なぜ、不登校が連鎖するのでしょうか?単純に下の子が真似をする以上の理由が実はあります。

1)投影

もし自分自身が慣れない場所、例えば、「海外」「冠婚葬祭」「茶道」「フォーマルなパーティ」などに参加したとしたら、周りにいる人の仕草をよく観察しませんか?自分の前の人はお茶碗を何回まわしたかな?とか、お焼香は3回かな?どのフォークを使ったら良いかな?そして、数名がやっている共通の仕草があればまずそれを真似するかもしれません。それも真似というよりは「ああ、なるほど、そうやるんだ」と答えを得たつもりにすらなってしまいます。

家庭とは人生に慣れていない子供達が基礎的な動作や物事の加減、感情、対処方法などを親を見て真似する場でもあります。

不登校のお子さんがいる家庭には不登校の遠い原因になるような文化があります。ご飯中におしゃべりをする文化でしょうか?しない文化でしょうか?食卓以外で食べ物を食べる文化でしょうか?親はすぐに感情的になるでしょうか?我慢強すぎるでしょうか?親の叱り方はさっぱりしているでしょうか?しつこいでしょうか?

子どもはその親の文化を基礎的な動作、加減、感情、対処方法として学びます。兄弟から不登校が連鎖するかを考える前に家庭が不登校を量産するような状況になっていないかを見直す必要はあります。

あるお母さんはその子どもが小さい頃から「お前」と言って呼びつけていました。叱るときも日常会話でもです。その子はそのこわいお母さんのためか小さい頃は口数が少なかったのですが、幼稚園に入る頃から少しずつ話をするようになりました。

幼稚園に入ったある日、そのお子さんとお母さんがひどい喧嘩をしました。理由は子どもが親に「お前」と言ったからです。確かにそこだけ取れば、その言い方はないなと思わなくもないですが、よくよく話をしてみると夫婦でも「お前が!!」と罵り合い、「お前やっとけよ!」と指示を出し、子どもに対しても「お前はなんでダメなんだ!」と怒鳴っていたようです。この家庭で果たして「お母さん」という言葉が使われていたのでしょうか?

大人二人が二人称を「お前」としか言わない家庭で生まれてきた赤ちゃんがどうして「お母さん」という言葉を使えるようになるでしょう?実際にはこれに似た教育をしてしまっていることがよくあるのです。

2)ピザの残り

家族関係はピザの分け方に似ています。不登校に兄弟がなってしまう家庭の一例に「お父さん不在、お母さん過保護」というパターンがあります。面談をしているとお父さんの存在が見えないのです。不登校の場合、母子家庭ということもありますので面談の最初に「お父さんは?」と不躾に聞けない場合もあります。自然と「夫婦で相談して」とか「夫が◯◯をして」という話が出てきて、お父さんの存在を知りますが、「お父さん不在お母さん過保護」の家庭ではお父さんの話が一切出てきません。お父さんが存在しないかのようです。そして、逆にお母さんは子どもに気持ちが向きすぎています。

つまり、お父さんが一番自分に都合が良いピザ(仕事?)をとり家の外に行き、お母さんが自分に都合の良いピザ?をとり、子どもがその残りを取るのです。お父さんが不在、お母さんが過保護というピザを取ると残りはあまり良いピザではありません。子どもはお父さんに頼れず、お母さんと共依存になるしかないのです。共依存の子は競争力がありません。いじめの対象になったり、劣等感を持ったりして不登校に向かいます。

ピザの取り方のパターンはたくさんありますが、子どものあり方の前に家で大人がどんな風に振舞っているかを見直すことで問題が解決する場合もあります。

褒められて育った子は役に立たない。子育てママの会や子育てのためのコーチングなどが流行っています。家庭、学校においては子どもを褒めて朗らかに育てたほうが良いかもしれません。お母さんは一生懸命に子どもを褒め、育てます。

しかし、企業はそんな甘い子どもを必要としていません。学力が高く、褒められて育っただけの子どもはすぐにつぶれます。つまり、育児には厳しさやマイナスの要素も必要なのです。

親が怒れなかったり、プラスに偏りすぎていると子どもは育ちません。もちろん親が冷たかったり、マイナスに偏りすぎるのもよくありません。そのバランスで子どもが育つのです。

 2.不登校の兄姉からの影響

兄や姉が不登校になると下の子に悪影響があります。特にある程度関係性が強い兄弟の場合影響を受けやすいです。兄弟が自立していていつも一緒というわけではない家庭ではあまり連鎖は起きませんが、関係性が近かったり、比較されて育っていると影響が出ます。まず、妹や弟は、不登校になっている兄や姉を見て、学校に行かなくて「ずるい」や「自分も学校を休みたい」と言い始めます。もちろんそれを真似して不登校を始めてしまう弟妹も少なくありません。

それよりも注意したいのは冒頭でご紹介した「投影」です。

上の子が不登校になったことに対応して、親が不登校対策を始めると家の雰囲気が一気に変わります。「不登校の家庭」という雰囲気になるのです。家の文化は不登校隣っている状態で下の子どもが元気でいることは難しい場合があります。

母は兄の不登校をきっかけに仕事を辞めた。恨みがましい顔をしていつも家をうろうろしては兄のことで悩んでいる。「あなたが学校に行かないから私が犠牲になった」という顔をして。だから僕は楽しい話ができない。兄に遠慮するのもあるけれど、恨みがましい顔の母と話したくないからだ。僕は母をあんな顔にした不登校にはなるまいと思っている。でも、それだけが心の支えで本当はもう学校に行けないくらいの状態になってしまっているような気もする。

意外にも今日だからの直接の影響ではなく親を介しての影響のほうが大きいのです。

不登校になっているのが弟や妹なら、保護者も姉や兄に対して、「弟(妹)の学年(学校)は、今、大変なんだね。」などと、話すことができます。しかし、例えば、中学生の兄が不登校だった場合、小学生の妹はいずれは同じ中学校に入学することになるので、保護者としても弟や妹に「中学校は大変」とは言えない辛さがあります。下の子どもには将来を見せつつ、上の子どもには現状の辛さを理解するという矛盾した対応が必要になってきます。

 3.不登校の弟妹をもつ兄弟

不登校になっているのが弟や妹の場合には兄弟が助けになることもあります。親と子どもの会話はどうしても将来のこと、学力のことになってしまったり、そういう会話を想起させてしまいますが、兄弟の場合にはそうならないこともあります。兄姉との仲がよく、勉強や進学のこと以外でも遊びの話などができると助けになります。ただし、親が比較して育てていると兄姉をライバル視しているので兄弟のサポートを得て不登校を解消するというのは難しいかもしれません。

 4.受容することが連鎖を作る

不登校が連鎖するかという意味においては家族がどれだけ不登校を受け入れ、受容し、体制を整えるかによって変わります。やればやるほど家の雰囲気は悪くなり、不登校色になり、下の子に連鎖しやすくなります。人生とはプラスばかりではありません。むしろプラスばかりで育てても良い子には育ちません。親が日常的なマイナスの出来事に一喜一憂せず、「今はマイナスを味わうとき」「今はプラスを楽しむとき」と割り切っていれば不登校だけにエネルギーを注ぐことはないはずです。兄弟が家に持ち込んだ新しい遊びや趣味が家族に流行して動きが出ることもあります。最優先事項を「不登校対策」にすることが本当に解決につながるかを冷静に考える必要があります。

中高生の不登校ですが、中学生は学校に行けない時でも、習い事や塾など、家以外の居場所を探すことが大切です。家から出ること、家族以外の人と関わることで、ひきこもりにならないようにして下さい。不登校だったけれど、好きなアーティストのライブに行っていた、大好きな鉄道に乗って日帰りで出かけた、テニススクールには毎日行っていたという中学生は、自分に合った高校を探すと、高校から通えることが多いようです。

 

 5.不登校が兄弟に連鎖しないために

1)学校選び

不登校と学校の文化は相関関係があります。人には相性がありますから、自分の性格に合っていない学校では辛さが多く、ストレスも貯めやすいものです。学校によっては休み時間誰もおしゃべりをせずに受験勉強をしている学校もあれば授業が崩壊するほどの学校もあります。ファッションに興味がある子ばかりの学校もあればアニメが好きな子が多い学校もあります。連鎖させないためにも早め早めに対応することが重要です。転校をすることで問題なく楽しく通えている生徒はとても多いのです。

そして、兄弟の不登校が早々に解消して楽しそうだということになれば、他の兄弟に不登校が連鎖することもありません。「学校は楽しそうだ」「上の学年は楽しそうだ」という雰囲気に早く家の雰囲気を変えていきたいところです。

2)協力者

不登校が悪化するよくある要因が親が相談できない。親が一人で解決しようとしていることです。この多様性の社会において、どんなに優れていても親の視野はほとんど点のようなものです。

子どもたちはよく「昭和の価値観を押し付けないで」と言いますが、本当にそれになっていることが多いのです。不登校の解決には外部の協力者が必要です。行政や学校というわけではなく、子どもが社会を知り、楽しく強く生きていくためには将来の自分を投影できる大人が必要です。もし、お子さんが13歳以上なら親の傘下に戻すのではなく、社会につながる道を作る方が解決につながります。

3)別の時間

兄弟それぞれに対応する時間を作ることは連鎖を避ける意味では有効です。家族が一堂に会しているときに楽しい話はできないかもしれませんが、不登校のお子さんがいないところでは大いに未来を見て、楽しみを探して、夢を描くようにもう一人のお子さんと関わる必要があります。時間を分け、それぞれの人生を別々のものとして、「答えは一人ずつ違うんだ」という価値観の元で接すると不登校が連鎖しません。

 

 

やる気引き出すモチベーション教育

プロフィール

椎名雄一(心理カウンセラー)

椎名雄一(心理カウンセラー)

初めまして。椎名雄一です。 多くの大人が問題を先送りしようとします。今、解決しなければ、子どもはより困難な未来を乗り越えなくてはなりません。 [詳細]