町田・相模原|通信制高校 精華学園町田校 校舎長ブログ

起立性調節障害、うつ病、ひきこもり、発達障害に必要なのは「正しい理解」

起立性調節障害の対応を誤ると

time 2018/06/28

誤った診断、見立てを家庭、学校、病院などにされてしまうことが多いのが起立性調節障害の特徴です。

 

1.ゲームをして夜更かしを続けているのはという保護者の対応

一般に夜遅くまでゲームをしているのは「怠けている」「ゲーム依存」のように解釈されてしまいます。実際に「朝起きられない」「身体がだるい」という症状を抱えながらもそれを明確に伝えることができなかった生徒が「ゲーム依存」とされてしまったこともあります。

 

1)ゲームは遊び?ではない場合がある

「ゲームをしている」=「遊んでいる」という解釈は一般的かもしれませんが、起立性調節障害の子供が夜どうしても寝られなくてゲームをするということはよくあります。大人でもスマホゲームをやる人の中にはゲームがどうしてもやりたいというよりは隙間の時間に耐えきれずにゲームをしている人もいると思います。「ゲーム」=「気を紛らわせる」というケースも少なくないのです。

 

もちろんそれが混在している場合もあります。

最初のうちはゲームにはまって、12時過ぎ、1時くらいまでやって怒られて寝ることを繰り返していたかもしれません。起立性調節障害がなければすんなり寝られたはずです。しかし、起立性調節障害の症状がではじめるとこの時間帯に交感神経にスイッチが入ってしまい寝られなくなってしまいます。寝られない理由は起立性調節障害なのですが、親からしたら「ゲームのせい」だと考えますよね。それで「ゲームをしているからリズムが狂って寝られなくなった」と解釈されます。

 

怒られた果てにゲームをやめて、寝るように頑張っても原因が起立性調節障害なので寝られるはずがありません。布団には入るものの寝られるのは朝方でみんなが起きる時間にはぐっすり眠っている状態です。朝の時間は死んだように寝ているのです。

 

親の解釈は「ゲームのせい」となっていますからそれ以上の事情を聞いてくれません。起立性調節障害という可能性を疑うことが難しいのです。こうして、症状に悩まされているのに誰も助けてくれないばかりか攻撃をされるような状況が出来上がってしまいます。

 

2)見逃せない二次的な問題

起立性調節障害は時期が来れば少しずつ症状が和らいできます。しかし、起立性調節障害が原因で「ゲームをしすぎて生活が乱れた!きちんとしなさい!」と怒られてしまうと「誤解されたこと」「責められたこと」「自分でもどうにもならないことを攻撃されたこと」などが原因になって、ダメージを受けます。

 

自己肯定感

自分には価値がある、自分は大事な存在だというような感覚がこの出来事によって著しく傷つけられます。例えるなら、「やってもいない犯罪をやったことにされそれを家族も信じてくれなかった」のような体験をしたら自分が価値がない存在だと扱われたような感覚になります。もっとしっかりと話を聞いてほしい、調べてほしい、信じてほしかったのに!と思うのではないでしょうか?

心の壁

理解してもらえない気持ちは心の壁になります。本当のことを話しても「ゲームが、、、」と言われてしまうことがわかっているので、他の問題についても話をしなくなります。信頼関係が壊れてしまうのです。これが保護者に対してだけならばまだ良いですが、親も先生も、、、となってくると「大人は全部」という発想にもなりかねません。

 

2.学校に来られないのは家庭に問題があるという学校の対応

学校に行けないときに学校に相談をすると多くの先生はまず「責任の所在」を気にします。学校でいじめがあったとか授業が厳しすぎたという話題になれば「不登校の原因は学校にある」と責められてしまうからです。

1)モンスターペアレントによる疑心暗鬼

本来、家庭と学校と力を合わせて子供のためにできることを探すのが良いのですが、簡単にそうも言えない問題があります。それがモンスターペアレントです。学校側が誠実に学校での可能性を親に話せばそれを責任問題にして100%学校が悪いという流れに持って行こうとする親が最近は増えています。

 

どちらがではなく、「本人の問題」「家庭の問題」「学校の問題」「社会の問題」が重なり合って問題が起きていることも少なくないのですが、「責任の所在」を押しつけ合うような状態になったらそんな協力体制は作れません。

 

過去にモンスターペアレントに攻撃をされたことがある先生や学校は「生徒のために安心して情報を開示する」「協力体制を作る」という発想は心理的にしにくいものです。どうしても「責められないように」という思いから「家庭に問題はないでしょうか?」と先手を打ちます。

 

「家庭に問題」と言われた保護者の心中は穏やかではありません。先生に対して、反発する感情を持ったり、ひどく落ち込んだり、最悪の場合、そのマイナスのエネルギーが子供に向かいます。

 

2)生活リズムの問題という前提

「家庭できちんとした生活リズムをしつけていればこんなことにはならない。他の生徒はきちんと朝起きられているのだから」という正しそうな理屈が先生の立場だと思い浮かびます。

 

起立性調節障害に限らずですが、悩みや問題を抱えている状態の人は一般的な状態ではありません。一般的な生徒、平均的な情報を思い浮かべてことにあたると「その子が抱えているレアな問題」を見逃してしまいます。大事なのは一般論でバッサリ切り捨てるのではなく、その子自身をしっかり見ることです。

 

起立性調節障害があれば、学校でも午前中はフラフラしていたり、顔が白っぽかったりと兆候を見つけることはできます。

 

3)文部科学省の不登校指導

「不登校はどの子供にも起こりえる」として文部科学省から子供に起きる心理的な問題への対応をするための指導が徹底されています。先生はそのマニュアルに従って、「心理的な問題で不登校になったのでは?」とまず一番最初に発想します。

 

起立性調節障害の生徒が学校に行けなくなった場合、「心理的な問題で不登校」という発想が先に来てしまうので見落とされてしまいやすいのです。

 

4)見逃せない二次的な問題

このような対応をされれば親が揉め始め、本人の耳にもその話が入ります。そんなことを言ってきた学校を信頼できるでしょうか?

 

「先生は敵かもしれない」「みんな敵かもしれない」

「みんな笑っているかもしれない」

 

そんな考えが頭をよぎれば余計に学校には行けなくなります。起立性調節障害がきっかけになって、友達関係がおかしくなったり、極端に自信を失ってしまうことも多いのです。

 

3.うつ病じゃないですかね?という病院の対応

 

心療内科の先生は心に関する専門家ですが起立性調節障害は心の問題ではないので見落とされがちです。心療内科の先生が起立性調節障害の人を見て最初にピンとくるのはうつ病であることが多いのです。

1)うつ病かもしれないという衝撃

うつ病という単語は多くの方に知られるようになった一方で「長期化する」「ひきこもりになる」「自殺の原因」そんなイメージを持っている人も少なくありません。どうして良いかわからずに「うつ病」のサイトをたくさん読んでも起立性調節障害のことはあまり書いてありません。

 

育て方が悪かった。家庭環境の問題。夫婦仲の問題。そんなキーワードをたくさん読むうちに混乱してきます。「私がいけなかった?」「夫婦の問題?」子供の問題で夫婦喧嘩がエスカレートすることも少なくありません。

 

2)投薬治療の害

うつ病と診断されると薬が出ます。薬を飲むと症状が治まるかというとそうではありません。起立性調節障害が原因なわけですから症状は治まることがないだけでなく、抗鬱薬の影響でおかしな症状が出ることもあります。(これに関しては言及できる立場にないのでお調べください。抗鬱薬の副作用にはうつ病の症状に似たものもあり、薬による倦怠感なのか?症状なのか?がわからなくなることがあります。

 

 

4.理解されないことが起立性調節障害を悪化させる

起立性調節障害は身体の病気ですが、困ったことに自律神経と関係があります。つまり、精神的な状態が起立性調節障害を悪化させるのです。

1)「良い子」が起立性調節障害になりやすい

起立性調節障害になっている子供の傾向を見ると「気を配る」「我慢する」というようないわゆる良い子が多いことがわかります。慢性的に我慢をして溜め込んでしまうストレスが自律神経に影響を及ぼして、起立性調節障害の症状を悪化させていると考えられます。

2)「発達障害」の子も起立性調節障害なりやすい

発達障害を持つ子はその特性によってストレスをためていることが少なくありません。そのストレスが自律神経に影響を及ぼして、起立性調節障害になることがあります。

3)起立性調節障害をきっかけに爆発

「良い子」のケースも「発達障害」のケースも幼少期からかなりのストレスを抱えています。それが起立性調節障害になったのをきっかけに堰を切ったように爆発することはよくあります。

昔の話を持ち出しては暴れてみたり、急に親を責め立てたりするので保護者もつい応戦してしまいます。この争いによってお互いが傷つくとそれがさらにストレスとなり、症状を悪化させます。長期的なひきこもり、長い長い辛い戦いがこうして始まることが多いのです。

4)気持ちを一旦受け止める

どんなに理不尽でも興奮していても数年分のストレスをここで受け止められると状況は一気によくなります。他のページでもご紹介していますが、保護者が聞くことができれば起立性調節障害の症状は最小限に抑えることができます。

 

参考までに

傾聴に関しては「オンライン傾聴講座」の方に動画付きの解説がありますのでご参照ください。

 

保護者が理解者。先生が理解者。友達が理解者という状況では起立性調節障害は大して苦しい病気ではないのです。時間をずらし、症状が重い時期を乗り越えれば良いだけなのですから。

 

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プロフィール

椎名雄一(心理カウンセラー)

椎名雄一(心理カウンセラー)

初めまして。椎名雄一です。 多くの大人が問題を先送りしようとします。今、解決しなければ、子どもはより困難な未来を乗り越えなくてはなりません。 [詳細]